2030年、ガソリン車の新規販売が禁止される中、ガソリンスタンドはどうなるのか。
EV車向けの給電スタンドと化して排気ガスのないクリーンな給電スタンドが見られるのか。
そんな疑問が沸き上がる今日この頃。
EV向けの電力販売は儲かる?
いえいえ、そんな生易しいものではありません。EV車向けの電力販売なんて儲かりませんよ!!
EV車の電気代は下記の記事参照
EV車の電気代はガソリン車と比較すると断然安い?
ガソリン車に比べて電気代は安いです。
一般家庭の電力消費は1か月で400kWhほどなので、1kWhあたりの金額は30円ほど。電力の原価は24円ほど。
つまり1kWhあたりの利益は6円ほど。
電力消費量(kWh) | 1kWhあたりの値段 (円・税込) |
---|---|
120kWhまで | 19.88円 |
120kWhを超えて300kWhまで | 26.48円 |
300kWh以上 | 30.57円 |
リーフのバッテリー容量は24kWと30kWの2種類。30kWだとして、0%から100%でも900円。
EV車は急速充電では100%まで充電できません。また、0%まで電力を消費した電欠状態で給電に来るとも考えられません。
EV車の急速充電は100%まで充電できない?
リーフ1台が給電に来て、10%から80%までの70%を充電しました。
21kWの給電で720円の支払いでした。1台の車が入店してスタンドの儲けは120円ほど。
ものすごく大雑把な数値にしていますが、スタンド業界のイメージとしては全体的に薄利多売+サービス提供になります。
EV向け給電設備は回転率が非常に悪い
そしてなにより、ガソリン給油と違って回転率が非常に悪いです。
セルフのガソリン給油であれば5分ほどで給油と支払いを済ませて出ていくでしょう。
EV車の充電となれば急速充電でも20分~40分程度を見込まなければなりません。
目黒区内であれば、既存のガソリンスタンドをリニューアルして給電スタンドを作ったとして、車の出入りを考えても給電ポイントが5つおければいいほうでしょう。
常時5つの給電ポイントが埋まって30分ごとに出入りするとして、60分で10台。客単価700円(利益120円)売り上げ7000円で粗利(売り上げ – 原価)1200円ですね。
5台の給電ポイントしか設置できないスタンドでは、1人分の社員の時給にも満たない程度の利益しか出なさそうです。
家庭用の充電設備でこの価格です。
- 給電スタンドの価格目安は下記
・1分あたり15円
・30分500円
・月額4000円
・無料
急速充電こそできないものの、公共の場では無料の充電設備が備え付けられているところも見受けられます。
自宅でも充電が可能なところを見ると、ガソリン車のように外部のスタンドに依存する必要もないのかもしれません。
電力販売事業において、薄利多売で儲けが出る予定ではあるものの、回転率が悪すぎることや公共の無料充電、自宅での格安充電によって、電力を商品として多売もできない状況になります。日本のように狭い土地で給電スタンドを経営することは非常に困難という結論に至りました。
海外では無料の急速充電スタンドがある!
電気自動車(EV)用充電サービス会社のボルタ(VOLTA)(本社:サンフランシスコ)は10月1日、EV用充電器の中でも出力が最大級の直流急速充電器を利用した、無料の充電サービスを開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。急速充電器の無料サービスは全米で初という。
なんと30分間の充電が無料!
急速充電であれば80%程度の充電が見込める程度。その後は課金が発生するとしても、とてもありがたい話ですね。
どうやって儲けているのかというと、広告です。
給電スタンドに設置する広告が収入源となっているようでした。
スタンド内には大きなディスプレイがあり、そこに様々な企業の高校を表示します。
企業は、広告費を支払ってEV車に乗っている人が興味を惹かれるような広告を表示してもらいます。
スタンドは、電気を商品として売るのではなく、企業を相手に広告を出す場所を貸すという方法で収入を得るようです。
つまり、EV車向けに電気を商品として販売すること自体が難しいのでしょう。