EVバイクの馬力表記(kW)、EV特有の短い航続距離、ガソリン車と比較にならないほどの高燃費。EVバイクにはガソリンバイクとは異なる特色がたっぷりです。
EVバイクのチェックポイントをしっかり理解してご自分の環境にあったEVバイクを購入しましょう。
着実にEVバイクへの道が見えてきていますね。
難題も多々ありながらも「2030年でガソリン車の販売が中止する」期日が決まっている以上、自ずとガソリンバイクも淘汰されていくのでしょう。
さて、そんなこんなでバイク乗りはいずれはEVバイクに乗り換える時が来るかもしれません。
今までバイクに乗っていない方は記念すべき1台目がEVバイクになるかもしれません。
EVバイクは、ガソリンバイクと異なる見方が必要になってきます。
そもそもEVバイクは排気量が設定できない車体の為、免許区分や車両区分もガソリンバイクとは異なります。
販売されているEVバイクに記載されているスペック
EVモーターサイクルのパイオニアとして世界を牽引している
Zero Motorcyclesから発売されている【 SR/F 】を例に挙げると、
下記のようなスペックが記載されています。※見るべきポイントを色付けしました。
カラー | Red / Gray |
---|---|
クラス | 電動大型二輪 |
定格出力(最大出力) | 40kW(82kW/110ps/5000rpm) |
最高速度 | ≧200km/h |
航続距離 | ≧259km ※高速道路(89km/h)の場合159km。街乗り+高速道路(89km/h)の場合198km。 |
車体重量 | 約220kg |
充電時間 | 4.5h ※レベル2(208V-240V)での充電時間。レベル1(110V-120V)の場合8.5h。 |
バッテリー重量 | – |
バッテリー定格容量 | 最大定格容量14.4kWh |
最大登坂角度 | – |
モーターブランド | Zero Motorcycles 製 |
ブレーキ(前/後) | (Wディスク/ディスク) |
タイヤサイズ(前/後) | 前(120/70-ZR17) 後(180/55-ZR17) |
バッテリー着脱 | 不可 |
サイズ(L×W×H) | – |
シート高 | 787(mm) |
最低地上高 | – |
アプリ対応 | 可能(Bluetooth) |
充電 | 100V、単相200V、J1772対応 |
付属充電器 | 車載 |
乗車定員 | 2名 |
灯火類 | LED(ウインカーのみ電球) |
バッテリー種類 | リチウムイオン電池 |
最大トルク | 190N・m(19.37kgf・m) |
製造国 | アメリカ |
スペックを分解すると、カラーやモーターブランドなど個人的な好き嫌いにしかならない部分は省略します。
EVバイクを選ぶときに見るべきスペック
- クラス=電動大型二輪
- 定格出力=40kW
- 最大出力=82kW
- 馬力=110ps
- 回転数=5000rpm
- 航続距離=259km
- 充電時間=4.5時間(100V時)
- バッテリー脱着=不可
免許区分=クラスとは
- クラス=電動大型二輪
そのまま、EVバイクを運転する時に、なんの免許を所持している必要があるのか。
その案内のようなもの。
ちなみに、「EVバイクを運転する時」に必要な免許であって、購入自体は誰でも可能です。
ガソリンバイクでも同様に、実は免許が無くてもバイクは買えます。
無免許でも買えますし、原付しか所持していなくても憧れの大型二輪バイクを買うこともできます。
話が逸れましたが、自動二輪は免許区分で、4つにクラス分けされています。
- 0.6kW以下:原付免許
- 0.6kW超1.0kW以下:小型二輪免許
- 1.0kW超20kW以下:普通二輪免許
- 20kW超:大型二輪免許
基本的には自分の所持している免許に応じた「定格出力」以下のものを選びましょう。
欲しいバイクがあっても免許が無い場合には、買うだけ買ってから免許を取得するのもモチベーションが上がって良いですね。
免許区分についての詳細は下記の記事をご参考に。
定格出力とは
- 定格出力=40kW
定格出力とは、モーターが最も良好な状態で性能を発揮できる時に連続発生する「出力」の事。
つまり、無理せず安定して連続的に出せる力といったところです。
一般的に出力と言えば、「定格出力」を指します。
「定格出力」の特徴としては
・安定できます。
・継続できます。
この2つにつきます。
無理すれば定格出力以上の力を出せますが、そんな状態では安定しません。継続できません。という事です。
40kW = 54ps
54馬力であれば安定して出せますよー。というもの
比較対象として、CBR400RRであれば下記。
CBR400RR(2020年式)
最高出力 (kW[PS]/rpm): 34[46]/9,000
=34kW=46PS
一般的にガソリンバイクは定格出力を記載しないです。
「それ以下の常識的な範囲で使用してください」です。
最大出力とは
- 最大出力=82kW
定格出力と一緒によく使われるのが最大出力です。
安定して連続的に出せる力が定格出力であるのに対して、無理して頑張ればこれくらいの力が出せます!というのが最大出力です。
「最大出力」の特徴としては
・安定しません。
・継続できません。
この2つにつきます。
バイクでいうところのレッドゾーンまで回転数を上げた時です。エンジンは余裕をもって作られているので、レッドゾーンまで回して即破損ではないですが。
それくらい頑張ればすごいですよ!というくらいのものです。
82kW = 110ps
がんばれば110馬力まで出せますよー!というもの。
比較対象として、CBR400RRであれば下記。
CBR400RR(2020年式)
最高出力 (kW[PS]/rpm): 34[46]/9,000
=34kW=46PS
一般的にガソリンバイクは定格出力を記載しないです。
「それ以下の常識的な範囲で使用してください」です。
馬力とは
- 馬力=110ps
力。です。
もう少し詳しく解説すると、馬の「力」です。
1馬力=75kgの物体を1秒間に1m動かす力です。
つまり75kgf・m/sが1馬力
kgfとはキログラムフォース
kg=キログラム(質量)
f=フォース(力)
m/sとはメートルセカンド(メートル毎秒)
m=メートル
s=秒
何秒で何メートル進むか
ここでまで分解すれば、先ほどの1馬力=75kgf・m/s の意味が分かります。
1馬力=75kgの物体を1秒間に1m動かす力。となります。
110psはとても強いということですね。
他のバイクと比較して馬力の値を比べるというのは、バイクの進む力を比べる事です。
最大出力で馬力計算が行われているので、バイクの力強さを評価する時は「定格出力」「最大出力」「馬力」の値を比較しましょう。
回転数とは
- 回転数=5000rpm
rpmとは回転数の事です。
1分間に回転する回数の事です。
rpm = roll par min
r=roll( 回転 )
p=par( / )
m=min( 分 )
1分間に何回転するか。
つまり、5000rpmとは「1分間に5000回転します」といったもの。
ここでの表記は、最高出力発生回転数。なので、5000回転まで回せますよー。というもの。
航続距離とは
- 航続距離=259km
100%の充電状態でどれくらいの距離を走ることができるか。
単純に航続距離が長いほうが有利ですね。
極端な話、航続距離1kmであれば1km走るごとに充電が必要です。
目的地までの距離が10kmであれば10回100%の状態まで充電する必要があります。
ツーリングなどでは、非常に重要になってくる項目です。
片道150kmのツーリングでは往復300kmになります。
高速道路を使ったツーリングだと、給油(給電)ポイントまでの距離も長くなりますので、航続距離が長いと安心です。
ガソリン車では航続距離が平気で500kmなどです。
古い型式で相当燃費効率の落ちた10年もののエンジンでも350kmくらいです。
CBR600RR(PC40)の燃費と航続距離
比率 | 60km/h 燃費 | 航続距離 |
---|---|---|
120% [+20%] | 34.8km/L | 626.4km |
110% [+10%] | 31.9km/L | 574.2km |
100% | 29.0km/L | 522.0km |
90% [-10%] | 26.1km/L | 469.8km |
80% [-20%] | 23.2km/L | 417.6km |
70% [-30%] | 20.3km/L | 365.4km |
CBR400R(NC5) の燃費と航続距離
比率 | WMTC 燃費 | 航続距離 |
---|---|---|
120% [+20%] | 34.0km/L | 578.0km |
110% [+10%] | 31.1km/L | 528.7km |
100% | 28.3km/L | 481.1km |
90% [-10%] | 25.5km/L | 433.5km |
80% [-20%] | 22.6km/L | 384.2km |
70% [-30%] | 19.8km/L | 336.6km |
CBR250R(MC41)の燃費と航続距離
比率 | WMTC 燃費 | 航続距離 |
---|---|---|
120% [+20%] | 38.5km/L | 500.5km |
110% [+10%] | 35.3km/L | 458.9km |
100% | 32.1km/L | 417.3km |
90% [-10%] | 28.9km/L | 375.7km |
80% [-20%] | 25.7km/L | 334.1km |
70% [-30%] | 22.5km/L | 292.5km |
そうです。EVバイクは航続距離が非常に短いです。
原付クラスのE-Vinoだとメーカー公称値では29kmです。
航続距離の公称値条件は下記
体重55kg
気温25度
無風
平地
時速30km
無理ですね。明らかに無理です。
ですので、確実に公称値よりも燃費は悪くなります。
実際のところ燃費は、冬場で18km、夏場で20kmほどです。
公称値なんてアテにならないのはガソリンバイクも同じですね。
それでも圧倒的にEVバイクの航続距離が短い事実は変わりません。
ので、騙されないように!公称値の航続距離や燃費を信用すると危ないですよ!
EVバイクとガソリンバイクの燃費比較についてはこちら
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充電時間
- 充電時間=4.5時間(100V時)
0%から100%までの充電にかかる時間です。
日本は100Vですので、家庭用コンセントから充電する時は100Vの充電時間を目安にしましょう。
エアコンなどは200Vを使用していますので、200V電源からの充電も可能です。
ブレーカーから200Vを引っ張ってくる必要があるので大変です。
といったところで、100Vの充電時間を目安に4.5時間。
長いです。ガソリン給油では5分程度ですので、ツーリング中に給電することは現実的ではありません。
その為、EVバイクの非常に短い航続距離を考慮したツーリングプランを立てることになりますね。
次項のバッテリー脱着が可能であれば、航続距離が一気に伸びます。
バッテリー脱着
- バッテリー脱着=不可
バイクに搭載されているバッテリーを外すことが可能かどうかです。
バッテリーが外せるという事は、予備バッテリーを持ち運べるかどうかという事にもつながります。
原付クラスのバッテリーであれば6万円ほどで購入できます。高いですね。
予備バッテリーを持ち運べれば、航続距離は2倍になるので長距離ツーリングも安心です!
むしろ給電ポイントやガソリンスタンドを考慮しないでいい分、圧倒的なメリットです!
バッテリーの脱着が出来なければ、航続距離の長いものを優先して選ぶべきかと思います。
こればっかりはバイクの外観が気に入っていても機能性が足りず、購入後に必ず悩む事になるでしょう。
また、バイクからバッテリーを取り外してコンセント近くで充電できるかどうかも重要になってきます。
国内ではバッテリー規格の統一化が進んでいるところを見ると、バッテリー交換式のEVバイクにも期待できそうですb
雨の日に乗っても大丈夫?
大丈夫です。電動とはいえバイクです。外での運転を想定して作られている為、土砂降りの雨の中でも問題ありません。
雨の日でもガソリン車同様の運転が可能です。
ただし、エンジン回りに水が溜まるほどの大雨や浸水時には使用できません。
タイヤが水に浸かるほどの状況は想定されていません。
こちらもガソリンバイク同様です。常識的な範囲を超えた風雨の中は危険です。
目安としては強い雨が当たる程度で、運転が可能な状態であれば支障ないでしょう。
強雨によって明らかに通常の運転が不可能と判断できる場合には、モーターの中に水が入り込む危険性はあります。
その祭、内部で部品が漏電してショートして破損してしまいます。
電動だから水に弱い!という訳ではありません。
十分に安全面に配慮されて作られているので、レインコートで凌げる程度の雨であればツーリングも問題なさそうです。
同様に洗車時の水圧にも耐えられるように設計されているものがほとんどです。
無茶をしない限りは水に対する考え方はガソリンバイクと同じで大丈夫でしょう。
騒音とバイク置き場
騒音はありません!
バイクがうるさい時代は終わりました!
どれくらい静かというと、聞こえないレベルです。
近づいてきたバイクに気づかないレベルで音が聞こえません。
Zero Motorcyclesから発売されている【 SR/F 】では、騒音どころかアイドリング時においてはほぼ無音です。
走行時においても実に静音で、後ろから近づいてきても気づかないほどです。
ここまで静かだとアピールしているので、マンションや住宅への騒音配慮は必要ありません。
深夜早朝であれば話し声のほうがよっぽど騒音になるくらいです。
こちらは、Zero Motorcyclesの【 SR/F 】の運転時の動画です。
ほぼ、無音です。
逆に今まではガソリンバイクで気づいてもらえていたものが、EVバイクになると気づいてもらえないようになります。
その為、バイクの音に気付いた人が避けてくれる、或いは車が避けてくれる、といった状況はなくなるでしょう。
EVバイクのエンジン音では静かすぎて、存在に気付いてもらえないでしょう。
通行人や車の運転手の立場になって考えると非常に恐ろしい状況ですね。
無音でいつの間にか背後にバイクがいるとなると、交通事故や犯罪に原因になりかねません。
実際に、エンジンが静かなことは大変良い事だとは思いますが、その静かさを逆手にとってEVバイクを悪用する人もいるようです。
中国などでは2億台もの電動スクーターが蔓延っていますが、犯罪利用も多いそうです。
無音で背後から近づいてひったくり。日本でもあり得そうな話です。。
EVバイクのまとめ
- 免許区分(クラス)
所持免許で乗れるかどうか!
- 定格出力
- 最大出力
- 馬力
- 回転数
バイクの力!
- 航続距離
100%充電でどれだけ走れるか!
- 充電時間
100%まで充電にかかる時間!
- バッテリー脱着
バッテリーの取り外しができるかどうか!
このあたりをEVバイク購入の際にチェックしておけば、自分に合ったものを選べるかと思います。
気になることはディーラーに聞いてみたり、試乗レビューなどを参考にして、納得できるものを購入するのが一番です。
試乗できるのであれば、必ず試乗しましょう!カタログスペックと実際の乗り味は異なります!
良いバイクライフを(´・ω・`)